毎年思うのですが、旧正月の国ゆえに、年末といった感じが全くしません。12月31日も平日。
そんな不思議な感覚を味わうのも、7回目。
そして、これが最後です。
なぜなら、実は私、来年の3月末で帰任することが決まったからです。
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帰任に伴い、引継ぎ含め、準備を始めました。
その中の一つに、愛車であるスーパーカブを手放すプロセスがあります。
今日は、そのスーパーカブのお話。
このバイクを手に入れたのは、2022年10月でした。
そこから、ヘッドライトが暗く、セルモーターも途中からは使えず、対策として6Vから12Vへの改造を行ったり、子どもの塾の送り迎えに使ったり、日本からタイヤを購入して交換したりと、日常の中でずっと一緒に過ごしてきました。
タイヤのレビューはこれまで書いていませんでしたが、私が選んだのはミシュラン・アナキーストリートというオン・オフ両用タイプのタイヤです。路面状況の悪いハノイの道路や裏道でも、安定したグリップを発揮してくれました。

このバイクは50ccですが、エンジンは本当に気持ちよく回り、乗っていてとても楽しい一台でした。
年式の関係でスピードリミッターが装着されておらず、メーターは60kmで振り切れ、90kmスケールの中で実測70km程度までは確認しました。
(もちろん危険なので、路面状況の良い長い直線でのみ試しましたが)
もう一つの魅力は、自動遠心クラッチの4速マニュアルであることです。
とにかく運転が楽しい。
歴代スーパーカブ50の中でも、一番出力の高かったモデルのようで、カタログスペックでは5.5馬力、9,000回転まで回るとされています。排気量の大きい100〜110ccクラスのバイクに混ざっても、しっかりと流れに乗って走ってくれました。
最初は正直、見た目があまり好きではありませんでした。
しかし次第にそのデザインにも慣れ、何より1982年に宮崎県で購入され、1997年に「日本から来た中古車」であるという点がとても気に入り、次第に強い愛着が湧いてきました。
一方で、困ったこともありました。それは、前輪のパンクがやたらと多かったことです。
最近になって、ハノイに日系のバイク屋さんがあることを知り、相談に行ったところ、なんとリムバンドが入っていなかったことが判明しました。


そのお店は、以前住んでいた家から歩いて10分ほどの場所にあり、2年前にオープンしたとのことです。
「もっと早くここに来ていれば…」と、最後の最後になって後悔しました。
このお店を訪れたきっかけは、バイクを知人に譲るにあたり、少しでも良い状態で引き渡したいと思ったからです。
点検、滑っていたクラッチの交換、キャブレターの清掃、ウインカーの交換、
チェーンカバーやスプロケットカバーを塗装して頂いたりと、最終的には本当に調子の良いバイクになりました。
ただ不思議なことに、エンジンの回り方は6ボルト時代が一番軽快だったように感じます。12Vへの改造後は、トルクが太くなり、高回転まで伸びる感じは少し薄れた気がしました。それは今回のメンテナンスでも同様の感じでした。
このバイクのおかげで、子どもたちとのコミュニケーションはとても良いものになりました。
毎週土曜日、学校のことを聞きながら一緒に走りました。思春期に入った長女は学校での悩みも多く、その話をよく聞いていました。
バイクの良いところは、近い距離で、同じ方向を向きながら話せることだと思います。
長女にとっては、後ろに乗る時間が悩み相談やストレス発散の場だったのかもしれません。塾の帰りはスーパーでお菓子を買って、食べながら後ろに乗っていました。
家にクルマがあったことを知らない次女に至っては、「ベトナムで一番好きな乗り物は家のバイク」と言うほどでした。
結果として、我が家の娘たちは二人ともバイクが大好きになりました。
妻もマイヘルメットを持ってバイクタクシーに乗るほどで、我が家は完全に“バイク好きな家族”だったと思います。
後になって知ったことですが、親会社にはバイク免許取得や所有関する制限がなく、110ccや125cc、さらには155ccまで乗ることができたそうです。
それを最初に知っていれば、もっと大きなバイクに乗っていたかもしれません。
とはいえ、免許のいらない50ccで探したからこそ、この出会いがあったのだと思います。
一般的な駐在員家庭では、バイクに乗る以前にバイクタクシーすら禁止されているケースも多いですが、ルールのない自分の会社には、ある意味恵まれていたと感じます。
とはいえ、所有していることも乗っていることも、報告はしていませんし、とにかく安全第一で過ごしました。
周囲の子どもたちからも「うらやましい」と言われていたようで、本当に貴重な経験でした。
遠回りをしながらの生活でしたが、このバイクには心から感謝しています。
以前のブログでも書きましたが、「生活に彩りを与えてくれる」という言葉は本当でした。
本当は、このバイクを日本に持ち帰るつもりでした。今年3月初め、帰国を見据えて調べ始めたのですが、ベトナムからバイクを国外へ持ち出すには、いくつものハードルがありました。
日本語が堪能な元スタッフに調査を依頼し、実際に交通警察署を2か所回りました。
このバイクは1997年に中古で輸入されて以来、一度も名義変更されないまま約30年が経過していました。
そのため、名義変更 → 抹消手続き → 公安の許可という流れが必要になります。しかしベトナムでは、使用者と名義人が同一でなければならず、すでに法律違反の状態でした。
結果として、名義変更には罰金が必要となり、その額は5,000,000VND (約30,000円)。
同僚のベトナム人だけでなく、交通警察の職員からも「そんな古いバイクに罰金を払うより、新しいバイクを買ったほうがいい」と言われました。
このバイクの良さを伝えるのは、なかなか難しいようです。
ちなみにこのバイクには、1980年代に東南アジア向けとして70ccモデルが発売され、ベトナムにも輸入されていたようです。
当時で、これを所有しているのは富の象徴であったようです。
そのため意外と知名度があり、若い人でも「CUB82」と言えば知っている人が多い印象でした。
このバイクを使ったツアーも存在するようです。


赤い外装のこのバイクは、今見ても本当に素敵です。
ベトナムの通販サイトでは外装キットも販売されており、一瞬カスタムを考えたこともありました。

また、このスーパーカブ50スーパーデラックスには、エンジンが黒で外装が赤い「赤カブ」と呼ばれるモデルもあったそうですね。

スーパーカブといえば丸いヘッドライトのイメージでしたが、四角いヘッドライトのこのモデルも、今では決して悪くないと思えるようになりました。
結局、新居(神奈川県某所)にはバイク置き場がなく、持ち帰ることは断念しました。
そこで、できるだけ信頼できる方に譲りたいと考え、知り合いの日本人の方がもう一台探しているということで、お譲りすることにしました。
2025年12月26日、会社を午前で早退し、午後にバイク屋さんへ引き取りに行きました。
ピカピカに整備され、クラッチも交換され、走りは驚くほど軽くなっていました。



ラストツーリングをしながら、そのまま新しいオーナーのご自宅まで届け、そこでこのバイクとお別れをしました。

最後に燃費を測ったら、リッター20km。
新車時はリッター130km (30km走行条件で)
新車時の2割以下。
良く走ってくれるけど、これを見ると本調子では無いのだろうと
思いました。
振り返ると、これまで
ヤマハDT50、ホンダXLR125R、スズキ・ジェベル200、ホンダ・スペイシー100
と4台のバイクに乗ってきましたが、どれも所有期間は1年ほどでした。
最も長く一緒に過ごしたのは、このスーパーカブ50スーパーデラックスです。
日本ではしばらくバイクに乗れませんが、いつか場所と時間が許せば、また所有したい。そう思わせてくれた一台でした。
1982年式、私より2歳年上のこのバイク――いや、この“先輩”に、心から感謝を込めて。
ありがとう。そして、【さようなら、先輩】